大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和24年(れ)1040号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人井手諦一郎上告趣意第一点について。

原判決に署名した判事が森静雄、高原太郎及び吉田信孝であること並びに原判決言渡し期日の公判調書には高原太郎、大曲壮次郎及び吉田信孝の三判事が列席した旨記載されていることは所論のとおりである。しかし判決は口頭弁論に基いて爲すべきもので、その言渡は單に告知方法たるにとどまるものであるから判決の基礎となった所論口頭弁論に関與した前記判事が判決に署名したのは当然である。また旧刑訴第三五四條によれば判決の宣告を爲す場合は判事の更迭があったときでも公判手続を更新することを要するものではない。從って、所論原審第四回公判において、從來審理に関與しなかった判事大曲壮次郎が前記口頭弁論に関與した判事の爲した本件判決の言渡に関與したのは正当であって原判決言渡しの期日の公判調書には何等の違法も存しない論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって旧刑訴第四四六條に從い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例